ラズパイPico で BASIC が動く 「MachiKania type P/PU」 のキーパットを自作キーボードファームウエア QMK & Vial で作成しましたが、自作キーボードの作り方も大分理解できてきたので、以前から作りたかった「片手デバイス」を作ってみようと思っていたところに、100均しばりで何か作ってみようという企画が立ち上がってたので、それにのっかって、片手デバイスを100均しばりの材料 + RP2040-Zero で作ってみましたのでここにその手順を説明します。
この記事を参考に同じものを制作する人もいるかもしれないので、できるだけ丁寧に説明しますが、ハンダ付けが必要で、ハンダスキルは中級レベルになると思いますのでハンダ付け初心者はちょっと苦戦するかも。
あ、そうそう、改造は自己責任でお願いします。(おきまりw)
必要な部品は、なにはともあれマイコンが必要で、 RP2040-Zero
最近はAmazonにも売ってますね。
RP2040-Zeroは、ピンヘッダがハンダ付けされていないものを用意します。
そして、下記からファイル dums_key_vial.uf2 をダウンロードして RP2040-Zeroに入れておきます。(BOOTスイッチをおしながらPCにUSB接続して、表示されたフォルダに uf2ファイルをコピー)
ファイル dums_key_vial.uf2 は上記ページの下記の部分をクリックで zipファイルをダウンロードすると、zipファイルの中の qmk_firmware フォルダの下にあります。
そして、100均商品としてベースにしたのは、これ、ダイソーの 「USB有線マウス(LEDライト)」 最近発売されたばかりらしくYoutubeでも紹介されていたものです。税込み550円。
100均しばりといいつつ、いきなり550円の物をつかうのは反則といわれそうですが、最近は無線マウスばかりで有線マウスの選択肢は少ないので。
あと、大きめのマウスの方が部品を組み込みやすいですしね。
さて、そもそもなぜ有線マウスかというと、電池のスペースがないので内部に余裕があるというのと、RP2040-Zero をPCにUSBケーブルで接続する必要があり、有線ならUSBケーブルがそのまま利用できるという理由です。
その他の材料としては、USBケーブル(USB-A to Type-C)
USBケーブルなら何でもよいわけではなく、通信対応でなくてはいけません。
あと、できる限り Type-C のコネクタが小さいものを選びます。
私はセリアでこれを購入。線材としても使うので、50cmでなくもっと長いものを購入した方がよいですね。
(私は途中で配線やり直したので、1.5mのUSBケーブルを追加でセリアで購入)
材料としては、あとマスキングテープを使うので材料は全部で3つ(マウス、USBケーブル、マスキングテープ)、全て100均で揃いますね。
マウスは軽く動作確認し、さっそく分解。
裏面後方の2か所のシールをはがすと出てくるネジ2つを取り外せばケースが分解できます。
ケースの上側を後ろにずらしながら外します。
これで基板も取り外せます。
基板上の真ん中にあるセンサーICと、その後方の2つのLEDをニッパで取り外します。
センサーICの足は切り落としたあとに裏面側を半田ごてであたためてハンダを溶かしてピンセット等で除去しておいてください(ショート防止のため)。センサーの下にある透明なパーツ(写真右)も不要です。
ここから配線をしていきます。
まず、購入したUSBケーブルを切断して、どの線がどの端子につながっているかを調べます。
Type-A側は使わないので、Type-A の端子の近くの方で切断し、ビニール被覆を切断して出てくる4本の線の端の被覆をむき、テスタでUSB-A の各端子と各線がそれぞれどれかを確認します。
USBの端子は、D- D+ 5V GND の4つです。
Type-A の端子は下記を参考にして確認します。
USBコネクタ TypeA ピン配置 (ピンアサイン) ケーブル色 | ぴーしーとこうさく
私の購入したUSBケーブルではこんなふうになっていました。
このように、マスキングテープに書いて貼っておくと良いです。
このUSBケーブルは、Type-C 側の端子から10cmくらいのところで切断し、(こちら側を使います)マウスのUSBケーブルの方は基板から取り外して、USBケーブルの対応する各線にハンダ付けしていきます。
基板の方には D- D+ 5V GND がそれぞれ D- D+ V G と書いてあります。
基板から一度に全ての線を取り外すのではなく、1本取り外したらUSBケーブルの方にはんだ付けして、1本付け終わったら、次の1本を基板から外しと、1本ずつやっていくのが間違わなくて良いと思います。
それぞれ対応する線をハンダで接続したら、マスキングテープで巻いて絶縁しておきます。
次に基板の裏側の配線パターンを下の写真の黄色の線(4ヵ所)のところでカッターなどで切断してください。テスターがあれば、切断できているかテスターで導通確認しておくとよいでしょう。
少し力をいれて切り込みをいれてください。心配なら2,3個切り込みを入れるとよいです。
そして、上の写真の青い線(2ヵ所)を短い線で短絡させます。
USBケーブルから取り出した線を短く切ってもよいですし、もし電子工作をしていて抵抗などの足の切れ端があれば、そんなものを使ってもよいです。
(GNDのところはハンダでブリッジでもできるかも)
次に上の写真の白文字の端子を RP2040-Zero の端子に線で結線していきます。
RP2040-Zero 側の接続先は下記です。
接続するための線の長さは10cmくらいに切ってください。
接続線は2つのサイドボタンの支柱の間を通して裏側に回すので、R、C1 に接続する線は少し長くしておいたほうがよいでしょう。(12cmくらい)
配線は予備ハンダしてニッパで短くしておくとRP2040-Zrto の穴にハンダ付けしやすいです。
RP2040-Zero を配置する位置が下の写真の場所になるように結線してください。(写真撮り忘れたので合成w)
USB-Cコネクタを差してもマウスの他の部品に干渉しないように配置します。
あと、RP2040-Zero のボタンがある方を上にしてください。(LEDもこの面にあるため)
結線完了後の裏面。
この後マスキングテープで各線をマウスホイールやケースに干渉しないように固定。
基板をケースに組み込んだ写真が下記。
USBケーブルを RP2040-Zeroに接続して、マスキングテープで固定します。
その他の線もマスキングテープで固定し、ケースにはめ込みます。
ここで、黄色丸のところ6ヵ所を確認。しっかりはまっているか、配線をかんでないか、下側のネジ穴を遮るものがないかがチェックポイント。
ここまでで、パソコンに接続して動作確認をします。
うまく動作しない場合配線などを確認します。
問題なければ、上カバーを取り付けます。
RP2040-Zeroに取り付けたUSBコネクタが上カバーについているウエイトと接触して上カバーの取り付けに苦労するかもしれません。
私は少し力を入れればぎりぎりネジが絞められたのですが、もしどうしても閉められないようなら上カバーに付いている金属のウエイトを取り外します。2つのネジをはずせば簡単に取り外しできます。
これで完成!
お疲れ様でした。
レイヤーの切り替えは、手前側のサイドボタン(S2)に割り当ててます。
レイヤーを切り替えると、白 ⇒ 青 ⇒ 緑 ⇒ 赤 の順でLEDが光ります。
各ボタンには適当に文字、数字、記号が割り当ててあります。ホイールは音量です。
Vial のサイト(下記にアクセスし、「Start Vial Web」をクリック)で好きな文字やアクションに変更しましょう。
Home - Vial
Vial の編集画面とマウスの各ボタンの割り当ては下記になります。
これで念願の左手デバイスができました!!
左手ではサイドボタンが操作しずらい点が少し残念。
ですが、4つもレイヤがあり、Vialで複雑な操作の設定もできるようなので(わからないことが多いので勉強しないと・・)便利に使えそうです!
【追記】
Vial の設定例を公開しました。